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2024/10/18

家づくり学

『木材乾燥』

『木材乾燥』

松戸市、市川市、宮大工が手掛ける古民家再生・注文住宅の工匠、広報担当です。
 

皆様こんにちは。

以前のブログでお伝えした「木の家の魅力」関連して、木材の乾燥についてお伝えしようと思います。

普段、製材所や材木所を見かける事ってなかなかないですよね。木造住宅にはたくさんの木材が使用されています。社寺になると柱、梁など一つ一つが、とても大きな材料になります。材木やさんは広大な敷地に木材を並べ保管し、乾燥させています。

建築に使用する木材にとって"乾燥"は、必要な工程であり様々な方法があります。木材の乾燥について学ぼうとすると、思っているよりも奥が深く、どんな材料が一番いいとはっきり判断できるものではないことが分かります。

大工の世界から生まれた「適材適所」という言葉があります。ずっと昔から、その道の匠たちは「木」という伐採後も尚、生き続ける天然素材を相手に、工夫して上手く使う方法を模索してきました。樹種ごとに違うそれぞれの特性、もっと言えば木一本一本の癖を見極めながら、「適材適所」に使い分け様々な木造建築を作り上げてきました。

木はたくさんの水分をため込んでいます。そして、伐採されてから乾燥していく過程で、反る割れる歪むなど木は動き続けます。そのようなリスクを軽減するために、木材をあらかじめ乾燥させてから建材として使用するようになりました。
 

ー目次ー

○乾燥材

 ・KD(キルンドライ)材とは
 ・AD(エアドライ)材とは

○KD材のメリット

 ・乾燥が短時間

 ・乾燥するまでの時間がわかる

 ・含水率の調整が可能

 ・建築後のクレームが少ない

○KD材のデメリット

 ・乾燥に費用がかかる

 ・木材の質や色が損なわるリスクがある

 ・耐久年数が短くなる

○AD材のメリット

 ・木材そのものの色合いや質を守れる

 ・耐久年数が保たれる

 ・放吸湿作用がある

○AD材のデメリット

 ・乾燥するまでに時間がかかる、時間が読めない

 ・含水率がKD材程下がらない、ムラがある

 ・歪み反り割れなど、建築後に生じるリスクがある
○G(グリーン)材とは

○まとめ


 

  

乾燥材

乾燥材には主に強制乾燥材(KD材)と、自然乾燥材(AD材)の2種類があります。

KD(キルンドライ)材とは?

温度、湿度、風量を調節できる釜に木材を入れ、人工的に短期間で乾燥させる「強制乾燥材」です。20%程の含水率になるようにします。用途によって含水率をもっと低くする場合もあります。現在多くの住宅建築で用いられているのはこのKD材です。乾燥方法は主に下記のようなものがあります。

【低温除湿式】…乾燥庫を比較的低温の45℃位に設定し、蒸気で木材を温めて水分の蒸発を
        促します。蒸気を当てることによって、表面だけが先に乾燥し割れてしまう
        のを防ぐことができます。
【高温式】‥‥‥100℃~130℃に庫内の温度を上げます。木の細胞を破壊させて乾燥さ
        せます。高温で一気に乾燥させるので、数日で完成させることができます。
【高周波式】……庫内を減圧させて高周波で熱を加え乾燥させます。最も早く完成するKD材で
        す。


高温で一気に乾燥を促すので、木への負担は大きくそれに伴う弊害もありますが、材木屋さんの企業努力や技術力で木材を良い状態に保って乾燥させることもできるようになっています。
 

AD(エアドライ)材とは?

自然乾燥させた乾燥材のことです。

伐採されてから木は少しずつ水分を蒸発させて乾燥していきます。その自然に乾燥していくのを色々な工夫で手助けして含水率が下がり乾燥材となるのを待つのです。かかる期間は1~10年とも言われています。木材の大きさや環境、樹種によっても変わります。丸太を一度水に浸けてから自然の太陽と風にさらし乾燥させていく方法など、手間と時間がかかる乾燥法もあります。


しかし、自然乾燥したAD材は強度が高いのが特徴です。
 

KD材(強制乾燥材)のメリット

現在の木造建築の主流はKD材です。KD材のメリットは下記のようなものです。

乾燥が短期間

人工的に乾燥させるので、計画通りに短時間で乾燥材を完成させることができます。短時間で建てなければならない現代の住宅事情の中でタイトな工期にも対応できます。大量生産も可能で流通のコスト削減が可能になります。

乾燥するまでの時間がわかる

乾燥までの時間が読めるのでスケジュールを立てることができます。適切なタイミングで完成することは、納品のスケジュールが狂わないので効率的です。乾燥のタイミングをコントロールすることで材料の不良を減らすことにもつながります。

含水率の調整が可能

木材に残る水分量を調整することができます。樹種や大きさが様々な木材にたいしても調整することができます。JAS規格だと柱、梁、フローリング等それぞれに目安となる含水率があります。そういった規格に対しても一貫した品質の木材を生産できます。

建築後のクレームが少ない

しっかりと乾燥させて建材として使用しているので、建築後の狂いを減らし歪みや反りが生じにくくなります。クロスの張り替えや、戸の建付け、など、木材の乾燥が不十分だったためにおこる不具合を軽減できます。また、設計段階での耐震や気密性の計算が後に狂うことが少なので安心です。建てる側にとっても扱いやすい建材になります。

KD材(強制乾燥材)のデメリット

KD材のデメリットとしては主に以下のようなものがあります。

乾燥に費用がかかる

人工的に乾燥させるには設備が必要ですしエネルギーも消費します。それら乾燥させる工程でかかる費用は木材そのものに影響するため価格は高くなり、建築費用もあがることになります。

木材の質や色が損なわれるリスクがある

釜にいれて短時間で人工的に乾燥させると内部が亀裂を生じる事があります。木のもつ油分も失われ、その木本来が持つ「粘り」や「艶」がなくなります。木へのこだわりを持った家づくりには物足りなく、意匠性も弱くなります。

耐久年数が短くなる

人工的に乾燥させるということは、一定の強度を持たせることができますが、自然乾燥の木材に比べると耐久性が下がります。社寺などにみる伝統的建造物のように何百年も建ち続ける事は難しいかもしれません。木は本来切られてから自然に乾燥していく過程で強さを増していきます。しかし人工乾燥の場合、木本来の性質が失われてしまうので、徐々に強くなることはなく建築時の強度からゆっくりと衰えていきます。
 

AD材(自然乾燥材)のメリット

AD材のメリットは以下のようなものです。

木材そのものの色合いや質を守れる

自然の風と太陽の力だけで乾燥を進めていくので、木から無理なく水分が抜けていきます。そのため木が持つ油分が失われることなく細胞も破壊されないため、艶、粘りが保たれ、本来の美しさが守られます。

耐久年数が保たれる

木、本来の伐採後徐々に強くなっていくという性質を失わないので耐久性が長くなります。社寺などの伝統的木造建築が今に残る最大の理由です。

吸放出作用がある

自然乾燥材は建物になってからも除湿と乾燥(吸放出)を上手く繰り返し続けます。使っている場所や使い方にもよりますが、無垢材の床や柱は家の中を心地い環境に保ってくれます。四季のある日本の環境の中で木は素晴らしい建材です。


AD材(自然乾燥材)のデメリット

AD材のデメリットは、KD材のメリットと逆の事と言えます。

乾燥するまでに時間がかかる、時間が読めない

自然の力で乾燥させるので、気候などの条件に左右され建材として使えるようになるまで時間がかかり、読めません。樹種や大きさによってもそれは変わります。タイトなスケジュールや大量生産に対応することが難しくなります。

含水率がKD材ほど下がらない、ムラがある

含水率を調整することが難しく、乾燥の状況にもムラが生じます。KD材程均一に含水率を下げることができません。

歪み反り割れなど、建築後に生じるリスクがある

乾きの足りていない場合、建築後に木材が反ったり表面にひび割れが生じることがあります。不十分な乾燥によって、材料が動き狂いが生じます。手刻みや継ぎ手など、大工さんの伝統的な技術が重要になります。扱いが難しいことで完成度にばらつきが生じてしまう可能性が高くなります。

G(グリーン)材とは

グリーン材とは、山から切り出したまま乾燥させない木材。未乾燥のものという事です。含水率は非常に高く、現在の住宅には不向きです。乾燥工程がない分安価ですが、一般住宅に使うにはリスクが大きいと言えます。予算を落とすために部分的に使用することはあるかもしれませんが柱や梁に使うには向きません。含水率が多い事は、カビや腐朽の原因になります。


 

まとめ

グリーン材について、住宅には使えないと述べましたが、昔はG材からの自然乾燥材をあたりまえのように使用して家を建ててきました。水の滴るような木は論外としても、今ほど含水率をしっかりと計測して家を建てたのではありませんし、人工的に乾燥させることはなかったでしょう。しかし、そこには大工が木を読み、手刻み継ぎ手など、その後起きるであろう歪みや反り程度や方向まで頭の中で描き、時間をかけて家を建てていました。建築に時間をかけることで、木材は乾燥を進ませていたのです。建築中に発生した歪みや狂いを大工達はリカバーすることができました。それでも木は生きています。大きな梁や柱に後からヒビが入ることも有ります。

現在の家はKD材がプレカットされ、運ばれてきた材料を決められた通りの場所へ組んでいき、早い場合は一か月程度で家がほぼ完成します。このスピードで進むスケジュールの中で昔のように乾燥が不安定な木材で家を建てるのは無理ですね。さらに、昔の家は今ほど気密性が高くなく、隙間風があったり、囲炉裏があったり、土壁だったりと木という建材が自然に強さを増していくような暮らしがありました。

古民家再生で立派な梁を活かすということが多々あります。当時の大工が読んだ木がまさに適材適所に使われていることで木が本来の強さを充分に発揮している証拠です。50年100年の古材はまだまだ強さを増しているので、再利用が可能なものも多いです。


今のKD材が100年後再利用できることはないかもしれません。しかし、今求められている気密性、耐震、スピード感などを考えた時、どんな材料をどんな風に使用して建てる家が一番自分に合っているのかを、柔軟にかんがえるべきだとわかりました。安心で丈夫な家を建てるために、一方からだけ考えるのではなく、専門家のアドバイスに耳を傾けながら多方面から進めていくことが大切です。


家づくりには自分のこだわりやわがままをしめしつつ、いつも柔軟に考えるようにすると、ちょっといいアイディアにたどり着いたりするかもしれません。


木はとっても奥が深く、人に優しい建材です。


木を知る大工が工匠にはたくさん在籍しています。

木の家が好きな方、今のお家を再生させたいとお思いの方、お待ちしております。家づくりの色々な想いをお聞かせください。
 

過去ブログも是非☞『木心地のいい家』に暮らそう ー木の家の魅力7選ー


 



工匠は、千葉県松戸市・市川市を中心に自然素材を活かした古民家再生・注文住宅を手掛けています。
いつまでも丈夫で美しく、愛され続ける住宅をご提供いたします。
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