松戸市、市川市、宮大工が手掛ける古民家再生・注文住宅の工匠、広報担当です。
皆さんは家で花や木を育てていますか?
縁側や居間、またはキッチンの小窓なんかから庭を見ることがあるでしょうか。木々の葉の色や落葉、花や実りそして、そこに出来上がった小さな”自然”の中にやってくる鳥や蝶で季節を感じることがありませんか?日本は四季がはっきりとしていますから、庭の中で季節の移ろいとそれぞれの美しさを楽しむことができます。枯山水や露地など庭に世界観を描く文化もあります。
家の周りに作られた花壇の花や、集合住宅の手入れのが行き届いた植栽の緑や花々は、そこに住む人だけではなく行き交う人たちを癒しています。外構も美しい植栽も完成された状態の建売住宅も見かけることがあります。間接照明で外壁に映るシンボルツリーの影は幻想的です。
純和風住宅でよく見るのは、門被りという植栽です。門扉の上に枝が渡り、トンネルのようになっている松やマキの木です。柿の木や琵琶、梅の木もあるかもしれません。木はとても長生きですから、景色の中に溶け込んでいます。子どもの頃、遊ばせてもらったご近所のお家と結びついて思い出す方も多いかもしれません。
今回は、純和風や和モダン住宅に合うシンボルツリーをいくつかご紹介しようとおもいます。
縁側から、窓から、光と風と季節を感じて嬉しくなる。お気に入りのシンボルツリーでゆっくりと和暮らしのご提案です。
-目次-
・シンボルツリーとは
・樹木の種類
・シンボルツリーの役割と効果
・シンボルツリーの注意点
・おすすめシンボルツリー10選!和暮らし
和暮らしシンボルツリー「常緑樹5選」
1、リトルジェム(タイサイボク)
2、ドドナエア・パープレア
3、ブラシノキ
4、ツバキ
5、ヒメシャリンバイ
和暮らしシンボルツリー「落葉樹5選」
1、ジューンベリー
2、ヒュウガミズキ
3、アオダモ
4、イロハモミジ
5、サルスベリ
・まとめ
家の外観を美しく演出してくれる植栽の中で、一番目立っていて家の象徴となるように植える樹木をシンボルツリーといいます。今では、一本の大きな木というよりは株たちの樹形も多く、庭や家が持つ全体の雰囲気を創るように植えられた樹木が多くなっているかもしれません。高低差を活かして数種類の樹木やグランドカバーを組み合わせ、家周りや庭を演出していくイメージです。ガーデニングのアクセントのような存在で、建物が街に馴染んで見えます。いづれの手法であっても家を印象付けるものである事には変わりありません。玄関先の植栽は来訪者の目印となりますし、毎日家族を迎えてくれるものになります。
樹木には主に、常緑樹と落葉樹があります。
常緑樹は葉が一度に全部落ちることがなく、一年中美しい葉を楽しむことができます。まったく落葉しないことはありませんが、少しずつなので、剪定の手間は必要ですが掃除の負担が軽減できます。一気に葉を落とさないので、雰囲気やイメージが安定しています。
落葉樹は秋から冬にかけて一斉に葉を落とします。落葉する時期のお掃除はちょっと時間がかかりますね。しかし、春の芽吹き、初夏の若葉は美しく、次々に姿を変えていくので四季を深く楽しむことができます。また、夏の日差しを遮って、冬は太陽を入れ込むことができます。
他にも樹木は、高木、中木、低木があり、花を咲かせる、実をつける、香りがするなど特徴は様々です。用途や好みの雰囲気で選んでみてください。
シンボルツリーは街並みや庭と建物を調和させて、家を魅力的にみせてくれます。整った植栽のお住まいには目を引かれます。夜のライトアップで外壁に映る樹木の影も美しく、思わず見とれてしまいます。
通りから敷地内が見えやすい位置や窓の前などに樹木を植えれば、自然に視線を遮ってくれます。敷地内を観察されにくくすることもできて防犯効果も期待できます。完全に見えなくしてしまうフェンスや塀よりも、不審な動きや影が外から見えるので、その点でも防犯効果がありそうです。よく知っているご近所の存在こそ最大の防犯ですから。
木陰っていいですよね。常緑樹、落葉樹のどちらがあっているのか、どの方向にどんな高さの木があると良いかを見極めれば、直に差し込む日差しを優しく和らげることができます。
街の景観と空気の浄化に貢献しよう。一般家庭のシンボルツリーの一本や二本で、と思うかもしれませんか、外壁やアスファルトを照り返す強い日差しを遮る緑です。風がそよぎ新芽が出て、空気を浄化しながら成長するのです。我が家の一本もご近所や公園、集合住宅の植栽や街路樹と調和して美しい景色の一部になります。ただ自分の家を演出するだけではなく、街の景観となって、空気と気持ちを浄化していくのです。
地植えで環境が良ければ、樹木は大きく成長します。適切な剪定を定期的に行い続ける必要があります。剪定をせずに伸び放題にしておくことはできません。伸びた枝や根が道や近隣に影響を与えてしまうと危険ですし、迷惑がかかってしまいます。樹種によっては巨木になって手に負えなくなってしまいます。剪定が難しかったり高所での作業になる場合は、業者にお願いする必要があります。シンボルツリーは植えるスペース、高さや特徴を調べてから決めましょう。
落葉樹はもちろん、常緑樹も落葉します。少しずつ葉が入れ替わる常緑樹は大きな心配はいらないかもしれませんが、定期的に掃除する必要があります。落葉樹はいっぺんに葉を落とす時期がありますから、側溝を詰まらせたり、近隣に迷惑がかからないよう注意しなければなりません。落ち葉をなんの工夫もなく放置すると景観を壊すだけでなく、腐敗が進んで害虫が発生するなどの事態を招きかねません。
樹木には、虫も鳥もやってきます。花や実を求めてたくさんの生き物を呼び寄せます。自然を作り出す限り、それは仕方のない事です。しかし、幹や葉に住み着いて樹木を枯らす場合もあります。せっかくのシンボルツリーですから、時には戦って木を守らなければならない場合もあるでしょう。
植物にはペットに有害なものがあります。ペットを庭で遊ばせる場合は、樹木に関わらず有害なものや食べてはいけない実がなるもの、とげのある植物にも注意する必要があります。
リフォームやリノベーション、増築などをしようとしたときにどうしても撤去しなければならなくなるかもしれません。樹木は切るだけでは根が残ります。根が枯れてそのままにしておくと害虫の温床になってしまう事もあるので、撤去とのときは抜根する必要があります。大きくなった樹木の撤去は大がかりです。木は長生きですから、植える際には少し先の事を考えてみるといいと思います。
日本の庭といえば!と思い浮かぶ樹木はいくつかありますが、今回は筆者が縁側から見えたら素敵ではないか?と想像して、独断で10種ピックアップしました。シンボルツリーは自由に楽しんで決めよう!という気持ちでご参考までに見ていただけたらと思います。
樹高は3~5m程。
葉の表面は、光沢のある深緑。裏側はベルベットのような質感で黄褐色をしています。濃い緑の葉の中に高貴で美しい花を初夏から秋まで次々と咲かせませす。厚みのある真白な花からは甘い香りがします。
樹高は1~3m程。
細長く乾いた感じの葉で、常緑樹でありながら、夏は明るい緑、冬は深い銅葉になり変化を楽しめます。刈り込むこともできるので、生垣に整えることもできますし、シンボルツリーらしく大きく育てても素敵です。雌木の小さな花の後に、落ち着いたピンクの莢がつくのですが、それが不思議と和の雰囲気。オーストラリア生まれの木なのに、和のお庭にとても似合います。
樹高は1~3m程。
5月に咲く花に目を奪われます。ボトルを洗うブラシにそっくりな形の赤い花。正確には花弁の中の雄しべが集まってブラシのようになっています。伸びた細い枝の先に咲くので花の重みで下向きになります。細長い葉の緑色と初夏の光に輝く赤いブラシのコントラストが和モダンな雰囲気にぴったりです。
樹高は5~10m程。
やっぱりほしい冬に咲く花。日本を代表する花の一つです。日本庭園には完璧な樹木。光沢のある美しい形の葉の中に、上品で凛とした花を咲かせます。八重咲きのものや白、ピンクなどもありバラのような雰囲気を持つ種類もあります。丈夫で育てやすく、寂しくなりがちな冬の庭に優しく、強く咲きます。
樹高は1~4m程。
初春の新葉は赤い葉です。5月頃、梅の花に似たうすピンク色の可憐な花を咲かせます。夏は赤かった新葉も艶のある緑に変わり、秋は古い葉が赤みを帯びてきます。11月~12月にはブルーベリーのような実を付けます。緑や赤の葉、うすピンクの花、実。色々な表情をみせてくれるので四季を楽しむ和暮らしに最適です。
樹高3~8m程。
4~5月ごろ桜に形の似た白い花をたくさん咲かせます。花のあとに小さな丸い実をつけて、6月頃、熟すと黒みを帯びていきます。実は収穫してジャムやお菓子、果実酒にしても楽しめます。この実を求めて鳥もやってきますから、バードバスを置くなどして楽しむのいいですね。秋が深まると葉は赤やオレンジに紅葉してこげ茶色の枝とのコントラストが絵のようです。一年中話題を提供してくれます。
樹高1~2m程。
3月~4月頃、小ぶりなうす黄色の花をたくさん咲かせます。枝からうつむき加減に咲く花姿は、たくさん咲くとはいえ上品でかわいらしいです。色紙を細かく折り込んだような葉脈が美しい、丸みのある葉です。丈夫で育てやすく、低木なので高い木と組み合わせたり生垣にしたりすると素敵です。
樹高5m~15m程。
4~5月頃、細長い花弁の小さなクリーム色の花を集めて咲かせます。遠くから見ると初夏の風に揺れて綿のように柔らかな雰囲気です。幹はグレー掛かった明るい色で自然で軽やかな樹形を楽しめます。瑞々しいグリーンの葉が数枚が対に集まりセットになっているのが魅力的。枝も葉も花も軽やかで繊細なので、ライトアップするとシルエットが美しく浮かび上がり幻想的です。しっとりとした侘び寂びの演出にもぴったり。
樹高5m~7m程。
カエデの仲間ですが、葉の切れ込みが深いものがモミジと呼ばれています。粛々としていながら、シャープで軽やかなモミジの存在感は1本でも庭をキリッと決めてくれます。季節の移ろいを美しく魅せてくれる一方で、日陰でも陽を求めて成長していく強さを持っており、大和魂を感じます。頭上のモミジを見上げて木漏れ日を楽しむのなら背を高くさせるのも良いですね。和暮らしにはぴったりの樹木です。
樹高2~10m程。
チュチュのようなフリルの綺麗な花をぽってりと集めて、長く伸びた枝の先に咲かせます。梅雨の後は花を次々に咲かせて真夏を楽しませてくれます。葉の緑と濃いピンクの花のコントラストはどこかオリエンタルな雰囲気も。白や紫の花をさかせる品種もあります。幹はつるつるしているのが特徴的です。落葉後の歪曲した自然の樹形も楽しみましょう。和の庭のアクセントにしてもいい感じ。シンボルツリーとしても充分な存在感があります。
シンボルツリーというより、和暮らしに合う庭木の紹介になってしまいました。だいたいシンボルツリーは一本で立派で目立つものの事を言うのでは?とご指摘を受けそうです。でもトレンドや住宅の立地など環境や事情は異なりますから、好きな樹木を組み合わせて家を素敵にして四季を楽しむのが一番です。
樹木を植えるときは、家を建てた時の記念樹、家族の誕生樹であったり、昔は家柄のステータスでもあったのかもしれません。いずれにしても、樹木には植えた時の想いが込められます。家を買った時はもう植栽されていた樹木でも、剪定して季節を楽しんで、毎日出迎えてくれるだけで、想いが詰まっていきます。樹木は生きていますから、そこに住んでいる人たちと共に、姿を変え成長していきます。時には家族の記念撮影の背景として残っているかもしれません。そして長生きする樹木は、植えた日を知らない世代になっても美しくたくましくそこに佇んで、その家の ”らしさ” になります。本当のシンボルツリーになるのです。
覚えていますか?校庭にあった桜やケヤキ。子どもの頃は木の名前なんて考えもしなかった巨木。今でも母校を想うと景色の中にあるのではないでしょうか。
実家や祖父母の家の景色の中にもあるでしょうか。誰かが想いを込めて植えた木が何十年も歴史を刻み、”自然”という優しい力で心の成長を助けてくれました。シンボルツリーは心の中に清らかにはつらつと残っていきます。
花が咲いた、実を付けた、鳥が来た。風の音がする、枝が伸びた。それだけで長い時間話がはずむ縁側で、和暮らし。いかがでしょうか。
工匠は、千葉県松戸市・市川市を中心に自然素材を活かした古民家再生・注文住宅を手掛けています。
いつまでも丈夫で美しく、愛され続ける住宅をご提供いたします。
家づくりに関するご相談、お悩みなどお気軽にお問合せください。
古民家再生を行い、私たちらしい暮らしを叶えたい。
他社で診てもらったら「建て替えた方が」と勧められたが、本当にそうなのか?
予算や間取りなど相談したい。